新しい派遣先は、80分しか記憶が持たない天才数学博士のもとだった。
(2008/11/25)
シングルマザーで家政婦をする杏子は、ここ数年で9人も担当が変わったという顧客を紹介される。それは、不慮の事故から80分しか記憶が持たなくなってしまった天才数学博士だった。80分しか記憶が続かない上、他人と交流するために数字を用いることにした博士とのコミュニケーションは、杏子にとってはじめはとても困難なことだった。しかし、杏子は徐々に博士の語る数字や数式に魅了され、それを自分なりに楽しめるようになっていく。やがて、10歳になる杏子の息子が1人で留守番をしていることを知った博士は、これからは息子も連れてくるようにと約束させる。息子がやってくると、博士は彼を“ルート”(√)と呼ぶようになり、それからは博士が住む離れには笑い声が溢れるようになったが…。
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