働きマン
[第10話]
12/12放送

朝、松方弘子(菅野美穂)が起きると、父親の征治(小野武彦)が出張で上京するとのハガキが届いていた。日付を見ると、それは今日だった! 征治は生真面目な公務員で、弘子が週刊誌の仕事をしていることを理解してくれない。さらに、妹の結婚が決まったことから、きっと説教をしに来たに違いないと、弘子は頭をかかえていた。

そんなとき、征治から豪胆社の前に着いたと連絡が入った。編集部に出向いて、編集長に挨拶をし、一緒にランチをしようというのだ。必死に征治を説得し、近くのカフェで待ち合わせた。
征治にあうと、予想通り、話題は妹の結婚から、「4年もつきあっている彼がいるんだってな」という話に。最近フラれたなんて口が裂けても言えず、答えに窮してしまう。と、偶然、雅美(佐田真由美)が通りかかり、助けを求める。
しかし、話の流れから、雅美は、なんと田中(速水もこみち)が弘子の恋人だと言ってしまう。そこに偶然、田中が通りかかり、征治は「娘がお世話になっております」と挨拶をしてしまう。

その夜、弘子は急いで帰宅したが、征治は弘子の生活に関してあれこれ言うばかり。ついには、「『JIDAI』は、はっきり言ってくだらない」 と言い出した。弘子は必死で反論するが、征治の批判は止まらない。怒った弘子は思わず「父さんみたいになりたくない!」と言ってしまう。

翌日、弘子が仕事をしていると、征治から晩飯を一緒に食べようと連絡が入った。弘子は断るが、「明日帰るんだから一晩ぐらいつきあえ」と言われ、仕方なくいつもの居酒屋で待っていてもらうことにする。

ようやく仕事を終え居酒屋に向かおうとした弘子だったが、編集部に戻ってきた成田(沢村一樹)から、征治は梅宮(伊武雅刀)と意気投合し、田中を無理やり連れてカラオケに行ったと聞いた。居酒屋でバッタリ出会ってしまったのだ。
頭を抱える弘子に、成田は征治からの年賀状を渡す。征治は毎年、編集部にあて、「弘子をよろしくお願いします」とハガキを送っていたのだ。

その夜、征治は田中におくってもらって帰るなり、「いい仲間や上司に恵まれて少し安心した」と告げ、田中のことも褒める。そんな征治に、弘子は「明日は朝ごはんを作って、見送りにいくから」という。

しかし、深夜、弘子のもとに成田から連絡が入り、有明トンネルで崩落事故があったという。弘子は一瞬、征治との約束を気にしたが、その時、征治が「行ってこい」と言った。弘子は「お父さん、ごめん。ありがとう」といい、家を飛び出す。

田中のバイクで現場についた弘子は、事故の悲惨さはもちろんだが、それ以外に異様なものを目にする。事故の様子を見ていた野次馬たちが、一斉に携帯カメラで写真を撮っていたのだ。目の前でこんなことが起こっているのに、みんなが液晶を見つめているのをヘンに思った弘子は、菅原(津田 寛治)に頼んで、その様子を撮影してもらう。

そして朝。弘子はトンネル崩落の写真ではなく、携帯電話で写真を撮っている人々の姿を見開きで載せたいと主張した。事故の写真は新聞やテレビに出回っている。けれど、写真を撮ることでしか認識できない人々の無力さを伝えたいと。それを聞いた梅宮は「たしかに今の世の中は何かが違う。それをストレートに伝えられるのは俺達、週刊誌だけだ!」と賛成する。

記事を書きあげた弘子は「まだ間に合うんじゃないか」とみんなに言われ、征治の見送りのために走っていく。そして、征治に会うと「ひどいことを言ってごめんなさい」と謝る。そんな弘子に「おまえは子供の時からすぐにカッとなるんだ」と微笑みかける征治。そして、「お父さんの夢はおまえの花嫁姿を見ることだけど、やりたいことを精一杯やれ」という。
最後の言葉は聞き取れなかったけれど、家に帰ると、征治は弘子が子供のころに好きだったマーボー豆腐を作っていてくれた。
たとえ言葉はなくとも、自分はきっと頑張れる――弘子はそう思った。
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キャスト
松方弘子(まつかたひろこ) / 菅野美穂(かんのみほ)
大手出版社・豪胆社内にある週刊 『JIDAI』 の編集もの部員。
何事にも積極的で責任感も強く、中途半端が嫌い。一度仕事モードに入ると、“寝食恋愛・衣飾衛生”の観念が消失し、恋人・新二とのデートをすっぽかすほど仕事に没頭する。その、男顔負けのたくましい仕事ぶりから、女でありながら「働きマン」と呼ばれている。
強気の発言も多く、敵をつくりやすいが、仕事に対する情熱は人一倍強い。目標は「世界中に売れる雑誌をつくること」と「そのために30歳までに編集長になること」。好物は納豆巻き。
田中邦夫(たなかくにお) / 速水もこみち(はやみもこみち)
週刊 『JIDAI』 の新人編集者。入社1年目。
「仕事だけの人生なんか」と仕事を重視せず、「やりたいことをのんびりと」「夜は仕事をしない主義」など、徹底して個人主義を貫く構えを見せる男。もともと、ファッション誌志望のため、『JIDAI』の仕事は適当にこなしていればいいと考えている。
指導係の弘子と、なにかとぶつかることが多い。

成田君男(なりたきみお) / 沢村一樹(さわむらいっき)
週刊 『JIDAI』 編集部のデスク。弘子の直属の上司。
激務な週刊誌デスクでありながら、「踏み越えず」「適度に」「余裕を持って」を実行できる、生き方上手な大人の編集者。部下の仕事状況を常に把握し、冷静に指示を出している。梅宮編集長の片腕的な存在。

渚マユ(なぎさまゆ) / 平山あや(ひらやまあや)
週刊 『JIDAI』 編集部員。編集は2年目。
夢は、大好きな作家の小説を世に送り出すこと。弘子の「働きマン」としての姿を尊敬していて、いつかは自分も弘子のようになりたいと思っているが、『JIDAI』ではまだまだ駆け出し扱いで、きちんとした担当を任されていない。
色気のないことが悩み。

荒木雅美(あらきまさみ) / 佐田真由美(さだまゆみ)
歯科衛生士で、弘子の大学時代からの親友。
その美貌とフェロモンから恋人が途切れたことがないどころか、常に複数キープしている。
弘子が何でも話せる唯一の相手で、よきアドバイザー。
山城新二(やましろしんじ) / 吉沢悠(よしざわゆう)
弘子の4年越しの恋人。大手ゼネコン会社の社員。
優しく真面目な性格。現在はマンション建築の現場監督をしているが、本来やりたかった仕事とは違うため、行き詰まりを感じ始めている。それがやがて、弘子との関係にも影響していく……。
梅宮龍彦(うめみやたつひこ) / 伊武雅刀(いぶまさとう)
週刊『JIDAI』の編集長。
肝心なときになると、どこからともなく現われ、頼りになる一言をいう。
過去に有名な仕事をいくつも残している。「上からは叩かれ下からは突き上げられてしんどい」とこぼしながらも、編集長を続けているのは、単に「楽しいから」と言い切る、元祖・働きマン。

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