ヴォイス〜命なき者の声〜
[第3話]
今回解剖のために運ばれ当てきたのは、タクシーの中で突然死亡したという女性だ。佐川教授(時任三郎)は、女性の死因は“クラッシュシンドローム”ではないかと言う。それを裏付けるように女性の体にはアザがあった。01/26放送
助手の玲子(矢田亜希子)がクラッシュシンドロームについて、別名・挫滅症候群といい、事故など身体が長時間圧迫されたあとで急に開放されることによって発祥する症候だと、ゼミ生に説明する。「関西淡路大震災のときにクラッシュシンドロームが多発したことからクローズアップされた」と、佐川が付け加えた。
そんななか、解剖台の側で遺体を見ていた佳奈子(石原さとみ)は、女性のアザを見て、突然、涙を流し、周囲を驚かせる…。
ゼミの終わった帰り道、落ち込んだ様子の佳奈子を元気付けようと大己(瑛太)と亮介(生田斗真)が話しかけていた。すると、佳奈子は母親が亡くなったときのアザに女性のアザが酷似していたことを、2人に打ち明ける。
15年前、心臓発作で亡くなったはず母親の足にはアザがあった。周囲の大人に訴えるが全く相手にされなかったそうだ。以来、加奈子は原因を自らの手で解き明かしたいと法医学の道を選んだという。
加奈子に「今からでも調べられるところまで、調べてみようよ」と大己言い出した。
後日、大己・加奈子・亮介は、佳奈子の母・久保秋雪子(片平なぎさ)が勤めていた工場を訪れた。そこはすごい田舎で、バスは2時間に1本しか走っておらず、夕方の最終バスを逃すと帰れなくなってしまうような場所だった。タイムリミットのある中、3人は工場に残されていた帳簿類などを調べる。
当時のタイムカードを発見した加奈子は不自然なことに気づいた。雪子はいつも工場から帰る直前にタイムカードを押していたという。死亡した日のタイムカードは18時に押されている。ところが、その後、21時まで工場にいたらしいのだ。雪子は工場のイスに座り、机にうつぶせるようにして発見されたのだった…。
さらに「久保秋」と書かれた加奈子の母親の軍手が見つかる。3人はそれを持ち帰って付着している成分を分析しようと考えた。
当時の同僚はほとんどが会社を辞めていて、工場に残って働いていたのは幼かった加奈子も面識のあった“ジンさん”だけだった。「母親のことについて調べている」と加奈子が事情を話すと、「会社を辞めた八木なら、もっと詳しいことがわかるかもしれない」とジンはアドバイスをする…。
八木は小さな駄菓子屋を営んでいた。店頭には「あんこ玉 50円」等、八木が書いたと思われる値札がついた駄菓子がズラリと並んでいる。八木は腰痛を患って工場を辞め、駄菓子屋を始めたそうだ。しかし、当時の雪子の様子を聞いても、「仕事の担当が違うから、朝と帰りに挨拶する程度だった」と言う。加奈子と亮介が八木から話を聞いているなか、大己は店頭に並ぶ駄菓子に夢中で、最後に“あんこ玉”を3つ買った。
その後、加奈子は遺族として鑑定結果を見せてもらうために地元の警察署を訪ねた。一方、大己も何かひっかかることがあったらしく、「終電で帰るから、先に帰っていて!」と言い残し、亮介と別れる。
大己は、雪子が死亡した日にパイプイスを納品した取引先に行き、パイプイスに座って何かを考えていた…。
東京に戻った加奈子は佐川教授に検死報告書に写っている雪子の遺体のアザが写った写真を見せていたが、佐川は「クラッシュシンドロームの可能性が高いが写真だけでは判断できない」という。佐川の言葉を聞いて落ち込む加奈子に「クラッシュシンドロームは人の優しさが引き起こすんだよ」と、関西淡路大震災での症例を元に説明をした。
亮介は「久保秋」と書かれた軍手の分析を、検査技官・蕪木(泉谷しげる)にお願いするもあっさり断られていた。哲平(遠藤雄弥)と彰(佐藤智仁)がコーヒーをこぼしてダメにしてしまった成分分析で忙しかったからだ。
しかし事情を知ると、蕪木は哲平・彰・亮介と一緒に徹夜で分析を済ませ、さらに、朝までに軍手の分析の結果も出してくれた…。
朝、軍手の分析が出ていることを知った加奈子はみんなに感謝しつつ、結局、最終バスに乗り遅れて工場で一夜を明かした大己に、電話で分析結果を伝えた。
軍手の分析結果、駄菓子屋の値札に書かれた数字、パイプイスの検品証、ジンさんの証言…。いろいろな事が大己の頭の中で交錯し、ひとつひとつの物証が線となってつながった。大己は加奈子にすぐ来るように言った…。
2人が向かったのは駄菓子屋を営む八木のところだった。大己は八木に「久保秋さんが最後に会話を交わしたのは八木さん、あなただと思うんです」と推論をぶつける。
すると八木は消え入りそうな声で、久保秋雪子が死亡した日のことを話し始めた。その日はパイプイスの納品日だった。トラックへの積み込みも完了し、イザ納品というところで、パイプイスの後ろに貼り付けた検品証が古いものであることに雪子が気づいた。そこで急遽、検品証の貼り直し作業を行うことに…。雪子はタイムカードを切って帰るところだったが、検品証の貼り直しを嫌な顔もせずに手伝ってくれた。
2人で貼り直しを終え、何とか作業が完了してパイプイスをトラックに積んだものの、納品時刻はかなり過ぎていた。雪子は「工場の後片付けは私がひとりでやるから、あんたは納品に行ってらっしゃい!」と、八木を送り出してくれたという。「すぐに戻ります」と言い残して八木は出かけたものの、納品が終わって帰ってくるまでに1時間かかったそうだ。
八木が工場に戻ってみると、雪子が足を鉄パイプに挟まれ地面に倒れていた。片付けをしている最中に、立てかけてあった鉄パイプが倒れてきたらしい。何本もの重い鉄パイプをどけて雪子を助け出すと、幸い、雪子は骨折などのケガもしておらず、痛そうにしていたものの元気な様子だった。
「車で送ります」と、八木は送迎を申し出たが、雪子は「自分で帰るから」と言ったという。そして「また、明日!」と挨拶を交わし、2人は別れたそうだ…。
雪子が死んでから、八木はずっと「自分が余計な仕事を頼んだために過労で死んだのではないか」と悔いていた。深々と頭を下げて加奈子に謝る八木。そんな八木に対して加奈子は「あなたのせいではありません。おそらく、母はクラッシュシンドロームで亡くなったのです」と、涙を流しながら告げた…。
そのころ大学では、亮介は玲子に呼び出されて校内のベンチに座って話をしていた。亮介の父で石末総合病院院長の石末貴之(名高達郎)からゼミに電話があり、「法医学ゼミを辞めさせ、消化器内科ゼミに編入される」と言ってきたという。
「法医学ゼミを辞める気はありません。楽しくなってしまいましたから!」という亮介に、玲子は「言う人を間違っているのでは?」と問う。
そして、「ちゃんと、お父様と戦えるのかしら?」と付け加えた…。
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第1話
東凛大学の医学部に所属する4年の大学生。
当初は心臓外科学ゼミを志望し、試験にも合格もしていたようだが、
なぜか法医学ゼミに所属している。
どうやら大学側の都合により配属が変わったようだ。
もちろん大己はこのことを不本意に感じている。
しかし、いざ法医学に触れてみると、社会が法医学を必要としていることを肌身で感じ、
その重要性と奥深さに魅了されていった。
鋭い洞察力の持ち主で、適職とも言える才能を発揮するが、本人にしてみればその自覚は全くない。
一方、私生活の方でも一見イケメン大学生なのだが、
本人が興味を持たない為、意外と女の子からの人気がない。
東凛大学の医学部に所属する4年の大学生。
この男、総合病院を経営する家庭に生まれた御曹司。
敷かれたレールに乗っていれば何不自由ない生活を送れるはずだった。
しかし、自分には荷が重いと感じ、父親が消化器内科医であることを無視して、
全く関係のない法医学ゼミに入ってしまった。
そんな彼も学校では人一倍明るいムードメーカー的存在。
とにかく女の子が大好きな男で暇があっては女の子に声をかけている。
なかでも玲子に憧れており、もっと仲良くなりたいといつも考えている。
大己とは昔からの親友で、互いが一番の良き理解者である。
東凛大学の医学部に所属する4年の大学生。
大学内でもトップクラスの才能の持ち主で、脳神経外科学ゼミの教授からスカウトがあった。
しかし、彼女は当初から希望していた法医学ゼミに入ることに。
彼女が法医学にこだわるのにはハッキリとした理由があった。
その理由とは、幼少の頃に亡くした母の死因が心不全だと医師から告げられたことに対し、
その死因に未だに納得がいっていないからだった。
親を幼い頃に亡くしていることから、気が強くなんでもバリバリこなすしっかりものである。
唯一苦手なことといえば家事全般である。
東凛大学の助教授として法医学教室を担当している。
温和でのんびりな佐川の下についても自分のキャラクターは変えず、
はっきりと物を言う性格の持ち主である。
もちろんその姿勢は学生に対しても同じで、常に学生とはクールに接している。
大学教員の中でトップクラスの美人だがなぜか未だに独身。
東凛大学の教授として法医学教室を担当している。
法医学に対する情熱は人一倍あり、学生たちには法医学の必要性を常に訴えかけている。
「亡くなった人の声に耳を傾ける」の意義なんとかして学生に伝えたいと日々奮闘中。
しかしひとたび研究室を出ると、その性格はおっとりで常にマイペースなゆったりとした時間が流れている感じの男でもある。
今年の新規ゼミ生5人には密かに期待をしており、その中でも大己の才能には誰よりも注目している。
東凛大学の医学部に所属する4年の大学生。
仙台の実家が歯科を経営していたことから、歯科の道に進むべく大学に進学したものの、
当時見ていた監察医の姿を描いた海外ドラマにハマり法医学の道へとシフト変更した変わり者。
今や“法医学オタク”と呼ばれるほどのこだわりを持ち24時間365日、法医学のことが頭から離れない。
しかしこう見えても意外と小心者で肝心な場面で逃げ腰になることも多い。
東凛大学の医学部に所属する4年の大学生。
医学部に合格するほどの頭を持ちながら、元暴走族のメンバーだったというイレギュラーな男。
過去に、羽井本人が関わっていない事件で犯人扱いされたが、その後の司法解剖の結果で羽井が無罪であることを証明された。
司法解剖の偉大さ気がついた羽井はこれを境に猛勉強を始め、医学の道を目指すこととなった。
そしてその努力が実り、今こうして医学部の学生として生活している。
元暴走族ということからやや気が荒いところもあるが、実は熱血家でアツいハートを持っている。
医学部での唯一の苦痛は『解剖研修』。
何度経験しても倒れそうになる。
南府中署に勤務する刑事の男。
彼が担当する事件の中で、遺体から不審な点や異常個所が見つかった場合に佐川に司法解剖を頼んでいる。
一見、冷静沈着で優秀な刑事に見える男だが、なかなか結婚しない玲子に対して「オマエは結婚できない症候群だ」などとあるまじき発言をして周囲の反感を買っている。
亮介の父親で、自身が経営する石末総合病院の院長を務めている。
将来、息子である亮介にこの病院を継がせようと考えていたが、その息子の反感を買い、
亮介はまさかの法医学ゼミに入ってしまった。
それでも貴之は何とかして後を継がせようとゼミを辞めるよう大学に圧力をかけ始めるのであった。
彰の母親で、普段は沖縄料理店「ちゅらちゃん」を営んでいる。
沖縄料理とはいうものの、メニューは自身の得意料理しか置かないというちょっと変わり者。
いつでも明るく、何に対しても首を突っ込まずにはいられない性格で店に集まる大己たちの会話に首を突っ込んではジャマ者扱いされている。
JASRAC許諾番号
6834131007Y41011
Blau
6834131007Y41011