山田太郎ものがたり
[第6話]
夏休みに入って暑い日が続き、太郎(二宮和也)は、庭の小さなビニールプールでしか遊んでいない弟や妹をプールに連れていきたいと思う。が、夏期講習が始まり、アルバイトをする時間もない。08/10放送
山田家の唯一の頼りは、御村(櫻井翔)からもらうお中元の数々だ。太郎は御村からお中元をもらって帰るとき、御村家ですれ違った女性の香りに意識を奪われる。ホットケーキを焼くのを失敗したりと、いつもと様子が違う太郎を見て、綾子(菊池桃子)は、「それは恋ね!」と断言する。太郎は「すれ違っただけだし、顔も見てない」と否定するが、その女性がなぜか気になるのだった。
一方、隆子(多部未華子)も、家で両親から「恋の病じゃないか」と追及されていた。隆子は否定しようとするが、強くはできず……。
太郎の話を聞いた御村も、思い出すとドキドキする――それは恋だと太郎を茶化す。そして、太郎の想いを確かめるため「今日ウチに来ないか?」と誘い、「おまえの恋の相手もウチにくるからさ」とつけたす。太郎はためらいながらも、「この気持ちがなんなのか確認するために行く」という。そして、御村は隆子に、「山田が恋しているかもしれない」と声をかけ、隆子の気持ちをあおる。隆子は、太郎の恋の相手が気になりながらも、「私には関係ないから」と、その場を去る。
放課後、一ノ宮校長(宇津井健)のもとに、卒業生で大学4年生の小谷(水川あさみ)がやって来た。映画製作の道に進んだ小谷は、夏休みを利用して高校生が主人公の映画を撮りたいのだと言う。ストーリーは、貧しい少年と大金持ちの令嬢との恋物語だ。
小谷はすでに少年役をひそかに決めていた。「この学校には御曹司が多いけど、あえて逆でいきますから。一番上品そうな子に貧乏約をお願いするの」。校長のところに行く前に、生徒たちを観察し、それでひらめいたのだ。それは太郎だ。小谷は「あの子、いい匂いがする」とつぶやいた。
御村の家に行った太郎は緊張していた。そこでメイドさんがお茶を出してくれる。その時、あの人と同じ香りがした! と太郎は言う。「相当、浮気性だな」と御村は笑う。と、その時、お目当ての人がやってきた。ゼリーを出され、ふと気づく。「この匂いだ!」。すると、御村は「うちのメイドたちにケーキ作りを教えてくれる先生だよ」と笑った。御村は最初から、太郎がにおいに反応しているだけと気づいていたのだ。
翌日、御村は隆子に「あいつは恋なんてしてなかった」と話す。隆子は何でもないふうを装うが、実は、昨日、太郎への思いを振り切るようにカラオケで歌いまくったのだ。そして、御村に「頑張れ」と言われ、隆子は「ちょっと頑張っちゃおうかな」と思う。
小谷は太郎に「映画にでてほしい」と言うが、太郎は忙しいので無理だと行こうとする。しかし、お礼といってもこんなものしかないけど……と出されたのは、ホテルニューコタニのホットケーキミックスだった! これは、いつか特別な日に食べようと弟や妹たちと約束していたのだ。そして、ホテルのプール券などもつけるといわれた太郎は、映画出演を快諾する。
さっそく映画の撮影に入る太郎。つぎはぎだらけの学ランを着て微笑む太郎に、女子生徒たちはメロメロ。小谷に「貧乏な学生の気持ちになって、演技してみて」と言われるが、太郎はそんなのお手のものだ。なにせ地でいけばいいのだから。その演技力に小谷は感動する。そして、彼に恋する令嬢の役を募集する。隆子は迷いつつ、オーディションに参加しないことにする。帰り道、御村に「また逃げるんだ」と言われ、隆子は「御村くんにとってはゲームみたいなもんかもしれないけど、私はいっぱいいっぱいだ」と言う。が、御村は2人にはうまくいってもらいたい、「すぐにあきらめなければ、もっといいことあるんじゃないの?」と言われ、考えをかえる。
そして、オーディションを受ける隆子。そして、ヒロインの座は隆子が勝ち取った。玉の輿にかける思いと太郎への気持ちに揺れる隆子のセリフには、リアリティーがあったのだ。
2人で帰っていると、隆子の母・まりあ(柴田理恵)と出会う。隆子の気持ちに気づいているまりあは太郎を家に誘い、夕食をごちそうする。いろいろなことを想像し、「私、貧乏はイヤ!」と叫んでしまう隆子であったが、太郎は「今の映画のセリフだと思いますよ」と気づく様子はない。
いよいよ映画の撮影が始まった。たくさんのギャラリーの中、ストーリーに自分を重ね、迫真の演技をする隆子。そんな隆子は太郎に「池上さんて何かいい匂いだね」と言われ、嬉しい。撮影が進むたびに、太郎への思いを募らせていく隆子。太郎は「この前のお礼に」と家に誘う。弟や妹たちは「今日はお客さんだし、特別の日だ!」とニューコタニのホットケーキミックスでホットケーキを作る。隆子は戸惑いながらも、みんなを笑顔を見ていると、「お金がなくても幸せになれる」と気づく。その時、食べたホットケーキは今までで一番おいしかった。
いよいよ映画のクライマックス。太郎へのまっすぐな思いを認めた隆子は今までよりも迫真の演技で「あなたが好き!」と叫ぶ。しかし、太郎の方は恋愛になると、棒読みでしか演技ができない。そんな時に、御村が太郎に何かをささやく。すると、太郎は「君なしではいきていけない!」と感情のこもったセリフを言えたのだった。そして、撮影は終わった。太郎は約束どおり、プールのタダ券をもらい、大満足だった。
帰り道、隆子は「山田くんと一緒で嬉しかった。このまま撮影が続いたらって思った」と勇気を出していったが、太郎は「ほんと、このまま夏休みが終わらなければいいのに」とまるで隆子の気持ちに気づいていない。そんな太郎に、隆子は「私、たとえ貧しくても、あなたが好き!」と叫ぶのだった。しかし、太郎は言った。「そのセリフ、御村くんにアドバイスもらったんだ」と。御村は「キミなしでは〜」のところを、何か自分の料理に置き換えてみろと言ったのだ。それで太郎は、キミを「ハンバーグ」に置き換え、あの感情こもったセリフがいえたのだった。隆子は絶句するしかなかった。
一方、太郎は弟や妹を念願のプールにつれて行くことができ、満足だった。
09/14
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キャスト
山田太郎 / 二宮和也(にのみやかずなり)主人公。カッコよく、成績優秀でスポーツも万能。そして女子たちをとりこにするスマイル――名門・私立一ノ宮高校に通う、「日本一彼氏にしたい高校生」。そんな全てを兼ね備えているアイドルであるため、まわりからは相当な「おぼっちゃま」だろうと思われいるが、実は超貧乏。幼い弟妹を養うため、毎日アルバイトに精を出し、家事をこなす苦労人である。その節約ぶりは熟練した主婦のようだ。
一ノ宮高校に入れたのは、高校始まって以来、4人しかいないといわれる特待生であり、校長のお気に入りでもあるから。
そんな彼にとって、一番大切なのは「家族」。家族のために、今日も頑張れるのだ。
御村託也 / 櫻井翔(さくらいしょう)
一ノ宮高校三年生。日本を代表する華道の家元の孫であり、大豪邸に住む正真正銘のおぼっちゃま。正反対の境遇である太郎と、女子の人気を二分している。無表情で感情を表に出さないタイプだったが「彼なら俺を笑わせてくれるかもしれない」と期待し、「おもしろい」太郎に近づいていく。
そのうちに、太郎の家が「ド貧乏」であることを知り、太郎とその家族をサポートする。そして、ふたりは親友となってゆく。
池上隆子 / 多部未華子(たべみかこ)
一ノ宮高校三年生で、中流階級の普通の家族に囲まれ普通に毎日を過ごす普通の女の子。
一ノ宮高校には必死の勉強で合格した頑張り屋さん。
彼女自身は貧乏ではないのだが、スーパーの特売で店員に値切り交渉を始める母や、ステテコ姿で家中を歩き回りおならをする父に囲まれた家庭環境が嫌い。
人生の目標は「玉の輿に乗る」こと。
山田和夫 / 松岡充(まつおかみつる)
太郎の父。元は開業医の一人息子で、将来は医者になるよう、レールを敷かれてきた。
しかし、高校生の時、綾子と出会い、恋に落ち、子供を授かる。親には勘当され、学費もストップされたが、特待生として一ノ宮高校を卒業し、ストレートで東京藝術大学に進学した。
大学院まで進み「天才すぎて、一般人には理解されない画家」として注目を浴びるが、本人にその自覚はない。現在は海外を放浪し、ひたすら自由に楽しくくらしている。抜群の容姿と天真爛漫さで女性は近づいてくるが、実は綾子以外の女性には興味がない。
少女から老婆まで多くの女性に貢がれるが、本人は「世の中いい人ばっかりだなぁ」としか思っていない。
杉浦圭一 / 忍成修吾(おしなりしゅうご)
一ノ宮高校三年生で特別進学クラス。
かなりのナルシストで、社長の息子というおぼっちゃまであるため、相手が誰であろうが、張り合いたがる。見た目はかっこよく、入学当初は太郎や御村と主意を争っていた。が、あまりのナルシストぶりに人気は低下し、今では二人に大きく差をつけられている。
しかし、太郎よりは絶対に優れていると信じているため、女子の人気が太郎にいくのが許せない。ことあるごとに太郎に対抗し、人気挽回のチャンスを狙っている。
山田綾子 / 菊池桃子(きくちももこ)
太郎の母。子供の頃から身体が弱く、あまり外で遊ばなかった。
元々は華族の末裔で、大企業の社長の一人娘としてこの世に誕生したが、綾子が生まれると同時に、母親は死に、父の会社も傾いた。その心労により、父親も病に倒れ、治療費で財産もなくなった。
しかし、生まれのよさからか、人を疑ったりという下世話な心を持たず、周りの人々を幸せにする愛くるしさと優しさに満ちている。その一方で、世間知らずであること、そして、ヘソクリの隠し場所を本能的に嗅ぎつける天性の勘があることで、一家を支える太郎をいつも苦境に陥れる。彼女が神様からの贈り物だと思っている金は、いつも太郎がアルバイトで貯めた生活費と下の子たちの給食費であり、彼女がみんなのためにと思って買ってきたものはたいてい役にたたない。しかし、夫の和夫にかわって、なんとか子供たちを助けたいと思っている。
中井正美 / 大塚ちひろ(おおつかちひろ)
一ノ宮高校三年生で特進(特別進学)クラスの生徒。
明るい性格でクラスのムードメーカー。
憧れの存在である太郎(二宮和也)や御村(櫻井翔)に対してとても積極的。
安藤政樹 / 山田親太朗(やまだしんたろう)
私立一ノ宮高等学校特進(特別進学)クラスの生徒。
ルックスに人気はあるものの、性格が読みきれないキャラクター。
鳥居京子 / 吹石一恵(ふきいしかずえ)
太郎(二宮和也)たちの担任で一ノ宮高校では、一番若い女性教師。
生徒たちから可愛いと人気はあるが、教師たちの間では「ちょっと頼りない新人」というポジションにいる。緊張しやすいキャラクターでガチガチになることがとても多い。
永原眞実 / 吉沢悠(よしざわゆう)
名門、城南学院大学・農学部の准教授。
史上最年少で准教授の地位まで登りつめた、世界的にも超有名な天才学者。
常にクールで沈着冷静で学生たちから「鉄の男」と恐れられている。
性格は超が付くほどのドSで、Mなターゲットを見つけてはネチネチ追い込んでいく。
しかしそんな時でも常にクール。
一ノ宮校長 / 宇津井健(うついけん)
私立一ノ宮高校の校長。一ノ宮高校が日本有数の名門私立高校となったのは、この男の存在があったからとも言われている。
校長といっても一教育者として生徒に接しており、生徒からの評判も高い。
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