四つの嘘
[第1話]
ここは、カナダ。フェリーの甲板には日本人のカップルが楽しいひと時を楽しんでいるようだった。女性は戸倉美波(羽田美智子)。男性は河野圭史(仲村トオル)。07/10放送
ところが、突然フェリーが激しく揺れて、甲板にいた二人は海へと放り投げられるように落ちていった…。
東京・寿町の通称“仏壇屋通り”にある「西尾仏具店」。その2階では、西尾満希子(寺島しのぶ)が、いつものように家族が食べた朝食の後片付けをしていた。その時、テレビでは「カナダで起きた船舶事故」を伝えていたが、そのなかで「河野圭史」という名前を耳にする。
ニュースを確認した満希子は、高校時代の友人・灰谷ネリ(高島礼子)に電話をかけるが、急命救急センターで外科医を担当していたネリは常に多忙で、仕事中は電話にも出られない。満希子は、悩んだ挙げ句、思い切って、やはり高校時代の同級生・カナダ在住の美波に国際電話をかけるが、受話器の向こうで、美波の夫・雅之(二階堂智)の口から出た言葉は、「美波はまだ帰っていない」というものだった。「カナダで河野圭史の事故に巻き込まれているのに、美波も帰宅していない…」満希子は嫌な胸騒ぎを感じる…。
ちょうどその頃、原詩文(永作博美)も、年下の恋人・英児(勝地涼)と一緒に、カナダで起こった船舶事故と、河野圭史が死亡したというニュースを見ていた。ニュースを食い入るように見つめる詩文に、英児は「知っている人?」と聞く。すると、詩文からは思いがけない返事が返ってきた。
「前、夫だった人…」
実家に戻った詩文は、父親・禮一郎(品川徹)に、ごく普通の話題を話すように、元夫の死を話した。詩文には圭史の間に娘がいたが、出産後、間もなく離婚をして、それから16年もの間、一度も会っていないのだ。
ところが数時間後、詩文は圭史の実家を訪ねる。「圭史が亡くなったのなら、娘の冬子(松山愛里)にも相続の権利がある」「大学卒業までの養育費を払ってください」と、遺体を引き取りに渡航しようとしていた母親・良子(野際陽子)に言い放った。
詩文の言葉に激怒する良子は、怒りの感情をあらわに、詩文を追い返した…。
その夜。詩文は娘・冬子に父に当たる人が事故で亡くなったことを話していた。しかし、冬子は、まったく動じない。「お別れがしたくなったら、向こうの実家にお願いするから、いいよ」そう言う詩文に、「ママ(詩文)は、お姑さんに嫌われているだろうから、頭下げなくていいよ」と、驚くようなことをサラッと言う、冬子。
「魔性は魔性同士、仲良く生きていけばいい」冬子の言葉に胸をかき回されるようだった。
未だに美波と連絡が取れない満希子は、ネリが勤務中の病院へ出向き、ネリと会う。そして、自分が不安に思っていることを、ネリにぶつけた。しかし、仕事に多忙なネリは、「ごめん、今仕事中で、そんな不確定な話には付き合っていられない」と、サッサと仕事に戻ってしまう。満希子はネリの仕事が終わるまで、待つことを決める…。
一方、ネリにも小さな出来事が起こっていた。同僚と飲んで自宅のマンションに帰宅すると、茶封筒に入った差出人のない1通の手紙が届いていた。
「誰からだろう」ネリが開封すると、そこには一枚の便箋が入っており、中には、大きなワープロの文字で「貴女は、殺人者だ」と、書かれてあった。
驚いたネリは、思わず便箋を落とす…。
授業で怪我した娘・冬子を連れて病院に来ていた詩文は、救急処置室から出てきたネリを見つけ、声をかける。会話が弾んだ二人はそのまま食事をすることに…。すると、病院の外でネリを待ち構えていた満希子がいて、3人は一緒に食事に出かけることになる…。
店で高校時代の話を懐かしむ、3人。3人は同じ高校の同窓生だった。さらに、ネリは満希子と詩文の娘が同級生で、自分たちの母校に通っていることを知る。はじめは楽しく会話をしていたものの、元々高校時代から詩文やネリと犬猿の仲だった満希子は、次第に言い合いになる。自分の意見に従わないネリに満希子はグラスの水をかける。それを見た詩文が満希子の顔を目がけてグラスの水をかけると、詩文と満希子が二人はつかみ合いのケンカをはじめ、ネリが必死に止める状態になる…。
その時だった。店内のテレビにからニュースが…。カナダで起きたフェリー事故で、「美波」が死亡したと告げる。愕然とする満希子。その報道を見て、詩文はポツリと、「負けてなんかいないじゃん、あの人」とつぶやいた。
09/04
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第1話
キャスト
原詩文 / 永作博美(ながさくひろみ)御茶ノ水に昔からある、小さな書店「詩文堂」の娘。元夫・河野圭司と離婚して以来、実家で娘を育てている。
自他共に認める“魔性の女”で、不思議な魅力で男を引き寄せる詩文。
元・夫の圭司は、高校時代の同級生・戸倉美波の初恋の相手で、詩文は美波から圭司を奪って結婚したのだった…。周囲の非難にも負けず、結婚、出産を遂げたが情熱が続かず離婚。そんなことから、美波の友人西尾満希子を嫌われているし、詩文自身も満希子が嫌い。
西尾満希子 / 寺島しのぶ(てらしましのぶ)
仏壇屋の一人娘。夫・武に養子に入ってもらい、平凡な主婦生活を送っている。
高校時代は、クラスの人気者で、何をやるにもリーダー的存在だった、満希子。
主婦として平和で退屈な毎日を過ごしていたが、戸倉美波の事故死で、運命の歯車が回りだす…。
河野良子 / 野際陽子(のぎわようこ)
河野圭史の母。息子・圭史の出世だけを楽しみにしていた母。
ひとり息子の将来を詩文に奪われたと、今も恨んでいる。
しかし、圭史が亡くなり自分の周りに身寄りが居なくなったとき、詩文が育てている圭史の娘・冬子に興味を抱く。
河野圭史 / 仲村トオル(なかむらとおる)
原詩文の元夫で、詩文との間に生まれた冬子の父親。
高校時代には、戸倉美波の家庭教師をしていて、美波の初恋の相手であったが、詩文の魅力に引き寄せられ、詩文と結婚をする。しかし、長くは続かず離婚。
離婚後、カナダに移住するが、そこで美波と偶然再会をし、愛が再燃する…。
美波と内緒で逢っていた時、ボートが事故に遭い、2人とも死んでしまう。
西尾武 / 渡辺いっけい(わたなべいっけい)
西尾満希子の夫。満希子が仏壇屋の一人娘だったので、婿養子に入る。
とてもおとなしく、のんびりとした、いい人。
しかし、どこか、他の人に対して無関心なところがある。
安城英児 / 勝地涼(かつぢりょう)
戸倉美波 / 羽田美智子(はだみちこ)
カナダに在住する主婦高校時代は、満希子の子分的存在で、いつも一緒に行動をしていた。自分の家庭教師をしていた河野圭史に恋するが、その圭史を詩文に略奪される。そのまま高校を休学する。
初恋の圭史が忘れられず、圭史によく似た男性と結婚するが、移住先のカナダで圭史と再会。不倫関係を続けるものの、圭史と密会していたボートが事故に遭い、2人とも死んでしまう。
灰谷ネリ / 高島礼子(たかしまれいこ)
脳外科医。詩文、満希子、美波と同じ高校に通っていた。
高校時代から勉強がよくできて、将来医者になるため、同級生と一緒に遊ぶことなく勉学に励み、トップで卒業。念願の医師となる。
仕事が人生。過酷な勤務も、ネリには情熱を注げる職場だった。
自分の人生を貫き、生涯独身を貫くはずだったが…。
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