武蔵が今年いっぱいで引退発表

K-1を14年に渡って支えてきた日本人トップファイター･武蔵が、今年限りでの引退を発表した。

26日、東京都内のホテルで緊急会見が開かれ、スーツ姿で登壇した武蔵は「引退を決めましたことをご報告いたします」と開口一番に発表。

その理由として「95年のデビューから14年やってきた中で、どこかでケジメをつけなければいけないと決めていました。7月ぐらいから思い始め、7月末には決意しました。K-1で80戦以上も戦ってこれたことを誇りに思う」

と語った。

その一方、「体力的な衰えはまったくない」とも語り、9月26日から開幕する世界一決定トーナメント開幕戦（韓国･ソウル）への出場を直訴。

「ケガもしっかり治し、コンディションも整え、ベストな状態をつくってきました。今でも自分なら、ワールドGPで日本人がいまだに成し遂げていない優勝という夢を叶えることができると信じています。ですが、今の自分はグランプリの出場権を持っていません。この場をお借りして、ファン、関係者のみなさまにチャンスを与えていただきたい。よろしくお願いいたします」

ファン投票、およびその結果を受けて与えられる主催者推薦残り3枠での滑り込み出場へ、武蔵は"最初で最後のお願い"をアピールした。

推薦されれば通算10回目の出場となるワールドGP悲願の優勝を引退の花道にしたいと武蔵。

8月2日のアジア予選、同11日の世界最終予選には目もくれず、昨年大みそかDynamaite!!のゲガール･ムサシ戦前から負傷していた左股関節のケガ、また試合中に負った左鎖骨脱臼を完治させ、コンディション調整にじっくり時間を費やし、引退と引き換えに9.26開幕戦出場にかけてきた。

「僕自身としては、ここでダメなら次のチャンス、また次のチャンスというつもりはない。これに賭けようと思っています。大みそかも考えていない。今はチャンスをいただきたいと、心からお願いするだけです」

引退試合についてのプランも考えておらず、もし推薦がかなわなければ、そのまま試合をせずにグローブを置く可能性も高そうだ。

だが、出場の可能性はそう高くはないのが現状だ。

K-1プロデューサー谷川氏によれば、1週間前の時点では上位3人はおろか「トップ10ぐらい」とのことだそうで、また谷川氏は今年の実績を重視して選出するとしている為、武蔵は状況はかなり厳しい。

武蔵が選出されなかった場合には、引退試合の舞台を用意するなど、別の花道を準備するプランを明かした。

日本でのK-1通算成績は、84戦49勝29敗5引き分け1無効試合。03年、04年には優勝には一歩届かなかったものの、94年の佐竹雅昭以来となる日本人最高位の準優勝を2年連続で達成。

日本人K-1選手の顔であり続けた男が、くしくもK-1MAXの顔である魔裟斗と同じ年にリングを去ることを決意した。

「引退後のこともまったく考えていない。これだけで生きてきた人間ですから」

選手生活の集大成となるワールドGPへの片道切符、武蔵は念願どおり手に入れることはできるのか。そして、武蔵の"最初で最後の願い"の声はファンの胸に届くのか。

K-1オフィシャルサイトで実施されている主催者推薦3枠の決め手となるファン投票は、２８日（金）いっぱいまで受け付けている。

(2009年8月28日)

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