ファーストキス
[第10話]
和樹(伊藤英明)が倒れ、飛行機をキャンセルした美緒(井上真央)は、見送りに来てくれていたはるな(酒井若菜)とともに、空港09/10放送
の救護室に運び込まれた和樹に付き添った。和樹は、美緒を探して走り回ったりしたせいで脱水症状を起こしていたのだ。命には別状
はないが、行きつけの病院があれば、搬送の準備をすると医師は言う。
強がって「お兄ちゃんが回復するまでは日本にいる」という美緒に、はるなは、美緒のために走り回った和樹の思いを無駄にしないた
めにも秋生(平岡祐太)に電話するよう助言する。
その頃、蓮子(松雪泰子)とともに難しい手術に臨んでいた秋生は、助手としての役目を無事務めあげた。手術は成功だった。
蓮子は教授の青木(柴俊夫)に、患者と医師の交際が悪影響を与えるとは思わない。秋生を函館にやるのはやめてほしいと進言する。
手術を終えた秋生の元に、美緒からの電話が入った。そこで美緒は、もう一度会いたい、と秋生に伝える。
翌日、和樹は、蓮子たちが勤める白鷺大学附属病院に運ばれる。知らせを受けた一流(劇団ひとり)と勝(阿部サダヲ)も病院に駆け
つけた。しかし、和樹は目を覚まさない。そして仕事に向かう勝たちに、美緒は「ありがと」と告げる。
するとそこに、仕事を終えた秋生がやってきた。はるなが気をきかせ、「和樹と2人にしてほしい」という。和樹のことをはるなに任
せて、秋生とともに近くの公園に行く美緒。
蓮子は青木に呼ばれ、秋生をこのままここで勉強させることにしたと報告を受けた。安堵する蓮子だったが、そんな蓮子に青木は、こ
のままでは秋生と美緒の交際を認めてしまったことになる。だから、代わりに蓮子が函館医大に行かないかという。あっさり「お受け
します」と答える蓮子。
2人になると、美緒は秋生に「今日、会えてよかった」と素直に言う。「あんな別れ方、しちゃったから。本当はもう一度会って、バ
イバイしたかったんだ」という美緒に、秋生は「バイバイは余計だよ。手術が終わったら日本に戻ってこいよ」という。それまで自分
も頑張るからと告げた。
昨夜の、美緒と同じ病気の手術の成功に刺激を受けていた秋生は、蓮子のような心臓外科医になりたいという思いを伝える。そして、
「難しい手術だけど、ぼくは成功するって信じてる」という言葉に、美緒は笑顔になった。
目を覚まし、はるなに状況を聞いた和樹が安堵していると、そこに蓮子がやってきた。和樹の様子が心配で見舞いにきたのだ。蓮子は
和樹に、秋生が白鷺大学附属病院に残れることになったと報告する。その言葉にホッと胸をなでおろし、蓮子に礼を言う和樹。すると
蓮子は「私もあなたには感謝しています」という。秋生を認めることで自分自身も過去の自分を認めることができたという。「お兄さ
んがああいうふうに言ってくれたことで、医師になってよかったと思いました」と。「先生は間違っていない」という和樹の言葉に救
われたのだという。
その頃、勝は番場(竹中直人)から和樹の状況を聞かれていた。「空港でぶったおれて、来週には仕事に戻れます」というが、番場は
一言、「こなくていいわ。もう二度と顔を見せるなと言っておけ」と言った。番場は家族にかまけて仕事をおろそかにするようなやつ
はいらないと以前言っていたのだ。そして、餞別だといって、フィルムを数本、諸畑(蕨野友也)に渡した。
勝はなんとか考えなおしてくれないかと頼むが、番場は聞く耳を持たない。
和樹の病室に戻った美緒は、秋生との約束を和樹に伝える。それを聞いた和樹は「先生が待っててくれるなら、きっと手術成功するよ」と笑う。
一方、秋生は、蓮子が函館医大に異動になることを知る。秋生は、教授の青木(柴俊夫)を訪ね、蓮子が異動になるのはおかしい。行くのなら自分なのにと抗議する。「君にそんなことを言う資格はない」という青木に、「ぼくはそんな悪いことをしたのでしょうか」と問う秋生。そこに蓮子が入ってきて、「私は本当に納得してるの」と言った。
さらに「先生は悪くないのに」という秋生に、蓮子は、悪いからいくんじゃない。秋生の姿を見て、患者さんとの向き合い方を一つ一つ思い出したのだという。だから、秋生にはここで頑張ってほしいのだと。
和樹が無事に退院し、美緒とともに家に戻ると、ごちそうが用意されていた。それは、みんなからの失業祝いだという。諸畑からフィルムを受け取る和樹。「それってクビってこと?」といきりたつ美緒とフォローするはるなや勝たち。しかし、和樹は言った。「番場先生はああいう人だけど、筋は通ってる。これは独り立ちしろってことだと思うんだ」。番場はいつも言っていたのだという。彼の弟子を辞めるときは写真をやめるときだと。その番場がフィルムをくれたということは、これでいいものを撮れということだと和樹は解釈したのだ。どうなるかわからないけれど、やってみると和樹は決めた。「美緒が日本に来て、一生懸命頑張ってなかったら、こんなこと考えなかったかもしれない」という和樹に、もう、独立を反対できなくなる美緒だった。
そして、みんなで乾杯をした。が、美緒は急に心臓に違和感を感じた。みんなに気づかれないように部屋に戻り、ニトロを服用し、落ち着いた。
しばらくして落ち着くと、急に不安になった。
なんとなく家の外に出てぼんやりしていると、勝がコンビニから帰ってきた。そんな勝に「幸せってこわいよね。ずっと続くわけじゃないし……」と美緒はつぶやく。そして、「私もコンビニに行ってこよう」と付き合おうかという勝を振り切り、一人で歩き始めた。
一人になった美緒は、母親に電話をし、「お兄ちゃんになって会わなきゃよかった」という。母は「好きな人でもできたの?」というが、美緒ははぐらかす。
美緒の言葉を心配した勝は、和樹に「美緒がやばい」と伝える。和樹が蓮子に連絡をすると、蓮子は函館に転勤することになったと伝える。それを聞いた和樹はイライラと「今から病院に行きます!」と言い、電話を切る。
その頃、美緒は、秋生を待ち伏せていた。そして、やってきた秋生に、「私、手術しなくていい? 2カ月前は一生爆弾抱えて生きていくなら、手術にかけてみようって思えたけど、お兄ちゃんとこきて、バカバカしいやつらとあって、先生好きになって、楽しい、幸せって思えたら、こわくなった。ずっとこのままでいたい。イチかバチかなんていや。私、死にたくない」と涙を見せる。
そんな美緒をそっと抱きしめる秋生。美緒は初めて、幸せというものの怖さを実感していたのだった。
09/17
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第1話
キャスト
福永美緒 [age20] / 井上真央(いのうえまお)病気療養のため、ロスにいた和樹の妹。10・・・
加納和樹 [age28] / 伊藤英明(いとうひであき)
美緒の兄。カメラマン志望だが、いまだアシ・・・
二階堂勝 [age30] / 阿部サダヲ(あべさだを)
和樹と同居中のスタイリスト・アシスタント・・・
進藤一流 [age28] / 劇団ひとり(げきだんひとり)
和樹と同居しているメイクアップアーティス・・・
結城秋生 [age26] / 平岡祐太(ひらおかゆうた)
美緒の日本での担当医がいる白鷺大学付属病・・・
斉藤はるな [age27] / 酒井若菜(さかいわかな)
銀行員で、ファッション雑誌の読者モデル。・・・
番場大 [age50] / 竹中直人(たけなかなおと)
個性派の有名カメラマン。自分のスタジオを・・・
高木蓮子[Age33] / 松雪泰子(まつゆきやすこ)
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