臨場
[第7話]
やわらかな日差しの差し込む木造の家。庭へと続く大きな窓は広く開け放たれ、心地よい外の空気が部屋の空気を清らかにしている。05/27放送
そんななか、和室を這うようにして動く老人・宮坂義太郎(西沢利明)の姿が…。隣室からは娘・祥子(藤真利子)のバイオリンの美しい音色が響き渡り、彼のはいずる物音をかき消していた…。
義太郎(西沢利明)の変死体が自室で発見され、倉石(内野聖陽)たちに臨場要請が来た。
同居している娘・祥子(藤真利子)夫婦の話では、第一発見者は祥子で、自室の鴨居から首を吊っていたという。しかし、後先考えずに遺体を降ろしてしまったそうで、警察が到着したときには、義太郎は既に布団の上に寝かされていた。
倉石と留美(松下由樹)は現場に到着時に、甘くていい匂いに気づく。検死をする倉石は、「寝たきりの生活を送っていた義太郎がわざわざ立ち上がり、首を吊るために鴨居に浴衣の帯をかけたりするだろうか」と考える。しかし傍らには、宮坂直筆の遺書が残されていた。
義太郎の首には何か白い粉が付着していた。
確かに鴨居には浴衣の帯を掛けた痕跡は残っているが、倉石は納得がいかない。部屋を注意深く調べると、側に置いてあったタンスの引き手の金具と義太郎の足の裏にも、帯の繊維跡が見つかった。
これで義太郎は鴨居を使った首吊りではなく、タンスの引き手と自分の首に帯を巻きつけ、自らの足でヒモを締めて自殺を図ったことがはっきりした。しかし、力が足りなくて死に切れなかったと倉石は推測した。さらに、家の誰かが首を絞めたことを示唆する…。
倉石は「他殺」と断定し、立石達の捜査が始まった。
司法解剖の結果、義太郎は誰かに手で絞めたことが判明する。そして義太郎の首の付いていたのは「松ヤニ」だと分かる。細かくいえば、松ヤニ86%・ひまし油14%が検出されたのだった。
松ヤニは野球のロージンバッグにも使われている。祥子達の息子・義樹(太賀)は野球部だ。義樹は、野球には熱中していたが学校はサボりがちで、よく義太郎から怒られていたそうだ。
まず、警察は義樹をマークする。
祥子の夫・直樹(中村育二)にも犯行動機があった。直樹は数年前まで画廊を経営していたが失敗し、2300万円の借金を背負っている。その後、現在務めている会社に就職したものの、最近は「肩たたき状態」だったそうだ。事件当日も、直樹は会社ではなく図書館で時間を潰していたそうだ。
直樹は、仕事で松ヤニから作る装飾品「ロジンアート」を扱っている。また、直樹は婿養子で、かねてから義太郎に「甲斐性がない」と言われていたという。立原(高嶋政伸)たちは直樹を激しく追及した。
そんななか、倉石は一人で宮坂家を訪ねていた。証拠品を探し回る倉石に、祥子は「父は自殺だ」と言い張った。
倉石は祥子に「俺のとは違うな」と言う…。
倉石は祥子のバイオリンの横に「松ヤニ」があるのを発見する。バイオリンを弾くには松ヤニは欠かせないものらしい…。
倉石はバイオリン専門店に行き、祥子の家にあった「松ヤニ」と同じものを購入。成分分析を急がせた。
立原が宮坂家を訪ねて直樹に任意同行を求め、連行しようとしたとき、倉石がやってきた。
「もう一度、部屋に戻れ」倉石は立原達を宮坂家に戻させる。
今回の真犯人は、直樹ではなく祥子だった。義太郎の首に付着していたのは、祥子がバイオリンを弾くときに使用する「松ヤニ」だった。成分を調べたところ一致したのだ。
祥子は、日頃から家族の荷物になっていると感じていた父・義太郎を不憫に思っていた。義太郎が自殺未遂を犯したとき、祥子は死に切れない義太郎の首を、その手で絞めたのだ。首を絞める力が弱かったため、皮膚に圧迫痕も残らず、司法解剖するまではっきりしなかったわけだ。
直前までバイオリンを弾いていたため、松ヤニの成分が義太郎の首に付着した――これが真相だった。
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キャスト
倉石義男 / 内野聖陽(うちのまさあき)警視庁刑事部鑑識課の検死官。死体の目利き・・・
小坂留美 / 松下由樹(まつしたゆき)
警視庁刑事部鑑識課の検視補助官。元は交通・・・
立原真澄 / 高嶋政伸(たかしままさのぶ)
警視庁刑事部捜査一課の管理官。捜査一課の・・・
小松崎周一 / 伊武雅刀(いぶまさとう)
警視庁刑事部刑事部長。倉石や立原の上司。・・・
一ノ瀬和之 / 渡辺大(わたなべだい)
警視庁刑事部鑑識課の検視官心得。一流大学・・・
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